オオサカジン

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2008年11月01日

察して。

  主役の青年:山本太一
  主役の彼女:川中洋子
  先輩:村西健一

L 明転。
舞台中央 → 山本太一の部屋。
山本太一 → 就寝間近。
山本太一 高校2年生 一人暮らし。Tシャツ・短パン。

歯を磨き、布団を引いたりと、寝支度をしている。
欠伸をして蛍光灯のヒモを引っ張るジェスチャー。

SE 蛍光灯のヒモを引っ張る音。
   ♪ パチッ。
L 暗転。
SE 電話音。( → 着メロ。)

太一 「・・・はい・・・あ、洋子か・・・。」

影マイクで洋子の声。

川中洋子 高校2年生 太一の彼女でクラスメート。

洋子 「私の事、好き?」
太一 「・・・はい?」
洋子 「ねぇ?」
太一 「・・・ん?なに?いきなりどうしたん?」
洋子 「今から行ってイイ?」
太一 「今から?」
洋子 「11時位に着くから。」

SE ♪ ツーツーツー・・・・。

太一 「え?ちょっと!・・・あ・・・・。」

SE 蛍光灯のヒモを引っ張る音。
   ♪ パチッ。
L 明転。

太一 → だるそうに欠伸をする。掛け時計を見ながら。

太一 「何?・・・10時半・・・。あと、30分・・・。ねむ・・・。」
SE チャイム
   ♪ ピンポーン!
太一 「早っ!」

太一 → 上手・玄関に移動。

太一 「はい。」

SE 扉を開ける音。
   ♪ ガチャッ!

太一 「早かったね。」
村西 「おう!・・・邪魔すんで。」
村西 → 靴を脱いで、部屋に上がろうとする。

太一 → 阻止をする。

太一 「ちょ・・・ちょちょちょっと、待ってください。」
    「どうしたんですか?先輩?こんな時間に。」
村西 「なんか来て困る事でもあるんか?」
    「・・・あ!女か!」
太一 「あ!はい!あ・・・いや・・・んな訳無いじゃないですか~!嫌だなぁ~先輩。」
村西 「そうだよな。我がサッカー部は、女にウツツ抜かしている場合では無いからな。女にウツツ抜かしてる奴はダメだ!もし、我がサッカー部にそんな奴がおったら、俺が許さん!ドツく!」(強く。)

    「俺より先に彼女を作るなんて羨ましい。」(ボソッ。と。)
太一 「はい?」
村西 「はぁぁぁ~あ。」(溜息。)

村西 → 部屋に上がり部屋中を検索。(下手に行って見渡したりする。)
太一 → 先輩の後をついて回る。
村西 → 布団をたたんで、テーブルを出して座る。

太一 「あの~。今日は帰ってもらえません?」
村西 「先輩に逆らってはいけません!」(強く。)
太一 「は、はぁ・・・も~、一体、何なんですか?」
村西 「実はな、用事があって来たんや。」
太一 「何ですか?用事って。」
村西 「部屋、結構、片付いてんねんな。」
太一 「何ですか?用事って。」(さっきより強く。)
村西 「もう、7月も終わりやな。22日やで。早いな。」
太一 「何ですか?用事って。」(更に強く。)
村西 「言うてる間に23日なるで。」
太一 「先輩!用事って何なんですか?」(強く。)
村西 「急がすなぁ。いや、まぁ、サッカー部にも新しい1年生が入ってきてもう半年になる訳やけど、どう?」
太一 「・・・どう?って言われても・・・・。まだ、良く解からないですけどね。」
    「そんな話でしたら、明日、部活の時に聞きますから。」
村西 「後輩とか、先輩のお前の言う事ちゃんと聞いてるか?
    うちのサッカー部、先輩の言う事は絶対や!って言う事をちゃんと教えといてやらんと、アカンぞ。」
太一 「は、はぁ・・。」
村西 「その代わり、先輩になったら責任感も必要になってくるからな。それに常に周りを見て注意して行動せなアカン。」
太一 「はぁ、・・・確かにそうですけどね。」
村西 「それが、今のお前に出来てるか!って言う話や!」
太一 「もう、そんな話でしたら明日、聞きますから。」
村西 「周りの人間が何を考え、何を思っているのか相手の気持ちを察して行動せなな。」
太一 「はい!解かりました!・・・・でわ・・・。」
村西 「俺は、今、お前が何を考えてるか、どう思っているか解かるぞ!」
太一 「ホナ、帰れや。」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「ん?」
太一 「いや、何でも・・・。」
村西 「逆に、俺が何を考えてるか解かるか?」
太一 「あ・・・ちょっと・・・。」
村西 「そうやろ。解からんやろ。
    相手を解かろうとせぇへんから解からんねん。解かるな?」
太一 「解かるか!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

太一 「あ!先輩!もう10時45分ですよ。」
村西 「おぉ。そうか。今日も、もうスグ終ろうとしている訳だ。・・・こんな時間に悪かったな。」
太一 「いえ。・・・お疲れ様です。」
村西 「今、TV何やってる?」

村西 → TVを付ける。

太一 「帰れへんのかい!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

SE リモコンの音。
   ♪ ピッ。

村西 「おい!」
太一 「・・・。」
村西 「おい!って!」
太一 「はい?」
村西 「・・・解かるやろ?」
太一 「何がやねん?」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「TV欄や!TV欄!察しろや!人の気持ちを!」
太一 「・・・はぁ。すいません。」
    「でも、ボク新聞とって無いんですよ。」
村西 「はぁ?無いの?7月22日付けの新聞?・・・とっとけや!俺、見るのに!」
太一 「なんで、アンタの為に新聞をとらなアカンねん!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「もっと、人の気持ちとか察した方がエえな。」
    「それに、普通、お客さんが来たら、出て来るもんとかあるやろ。」
太一 「え?は、はい。す、すいません。・・・麦茶でイイっすか?」
村西 「あぁ。」
太一 「チッ!」

太一 → 舌打ちをしながら、下手・台所に移動。

村西 「大体な、それがお前のアカンところやぞ。」
    「もっと、周りを意識しとかんと。その辺が試合中のプレイにも出てるねんぞ。」
太一 「チッ!何やねん?関係あらへんやんけ!」

太一 → ボソッ。っと、呟きながら、麦茶を注ぐ。

村西 「おい。灰皿どこや?」
太一 「わぁ!」

村西 → 太一の背後に立っている。

太一 「無いですよ。ボク、煙草吸いませんもん。」
村西 「ほんま、気の利かんやっちゃなぁ。」
    「ホナ、この湯飲みを借りるで。」

村西 → 湯飲みを灰皿代わりに代用しようとする。

太一 「やめて下さいよ!」

太一 → 湯飲みを取り上げる。

村西 「なんやと?」
太一 「この湯飲みは、じいちゃんの形見なんですから。」
村西 「ほんま、自分、解かってないわ。さっきから言うてるやろ。周りの人間が今、何を考え思っているか察して行動せぇ!って!」

太一 「でも、この湯飲みだけは駄目なんですよ。」
    「ボクが小学生の頃、学校で作って入院していたじいちゃんにプレゼントした湯飲みなんですから。」
    「・・・ま、プレゼントする直前に亡くなりましたケドね。」
村西 「プレゼントかぁ!へぇ~。」
太一 「とにかく、じいちゃんの形見で大切な湯飲みなんです。」
村西 「プレゼント!成程な。プレゼントな。」
太一 「そうなんですよ。」
村西 「でもな、周りの気持ちを考えて行動していたら普通、この場面では
   「灰皿が無いのでこの湯飲みを代わりに使って下さい。」になるやろ。」
太一 「なるか!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

太一 「煙草吸うんやったら帰って下さいよ。」
村西 「ホナ、吸いません。ボク、禁煙中ですねん。」

村西 → 舞台中央に戻る。

太一 「はい、麦茶です。先輩。」
村西 「お前、ほんま解かって無いなぁ。泡の出る方の麦に決まってるやろ。」
太一 「え?ビールですか?無いですよ。そんなもん。」
村西 「一緒に乾杯しようやないか!今日という日を。」
太一 「でも、ボクはお酒、駄目ですから。」
村西 「何や?今日、お前、車か?」
太一 「・・・・。」
村西 「冗談や。冗談。(笑)・・・でも、無い物は仕方がないな。」
太一 「・・・ですよね。じゃあ、そういう事で・・・。」
村西 「俺は今、お前が何を考えているか解かるぞ。」
太一 「ほんまですか?・・・もう11時ですもんねぇ。お疲れ様です。」
村西 「自販機もう使えんから、コンビニな。」
太一 「は?」
村西 「解かってるがな。お前が言いたい事くらい。」
    「ちゃんと、留守番してるがな。」
太一 「違うがな!帰れや!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「今日という日はもう二度とやって来ない!7月22日という日は永遠なり!乾杯!」
太一 「何を言うてるねん!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「あ~!ケーキも食べたい!」(叫ぶ。)
太一 「ケーキとビール会わんやろ。」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「何をしてるねん!早く行って来いや!喉渇いとんねん!こっちは!」
太一 「麦茶あるやんけ!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「先輩命令や!」
太一 「あ~!もう・・・・。解かりました。買ってきますよ!」

太一 → 上手にハケる。
L 暗転。~FO.

SE 電話音。( → 着メロ。)
影マイクで太一・洋子の声。

太一 「あ・・・もしもし・・・今日はちょっと・・・アカンわ。」
洋子 「どういう事よ?」
太一 「いや、ちょっと・・・な。」

SE ♪ ツーツーツー・・・・。

太一 「え?ちょっと!あ・・・・切れた。」
    「・・・怒らしたかな・・・。ま、明日、謝ったら大丈夫やろ。」

L 明転。~FI.

部屋がさっきより散らかっている。
テーブルの前に村西と洋子。何か話している様子。

L 完全に明転。

太一 → 上手より戻って来る。買い物袋を持っている。
SE 扉を開ける音。
   ♪ ガチャッ!

太一が帰って来たと同時に、
村西、洋子に迫る。
洋子、村西を嫌がる。

太一 「洋子!」
村西 「おぉ!早かったな。それにしても気が利くやん。解かってるやん。デリヘルを頼むなんて。」
太一 「女にうつつ抜かしてるのん、お前やん!」

太一 → ボソッ。っと、呟く。

村西 「でも、こいつアレやな。サービスも顔もイマイチやな。」
洋子 「太一くん。」

洋子 → 太一の傍に駆け寄る。

村西 「おい、チェンジ言うてくれ。」
洋子 「ちょっと、この人、何なのよ?」
太一 「ゴメン・・・いきなり来ちゃってさぁ・・・。クラブの先輩。」
村西 「何をごちゃごちゃ言うとんねん?」
太一 「あ、は、はい!すいません。・・・ビールです。」
洋子 「ちょっと、帰ってもらってよ!」
太一 「でもな、先輩やし。」
洋子 「ここアンタの家でしょ!」
太一 「ま、まぁ。」
洋子 「それに、あの人、私の胸を触ったのよ。」
太一 「え?」
洋子 「お尻も。」
太一 「でも・・・。」
洋子 「怒らないの?チューもされそうになったのよ!チューよ!チュー!」
    「何とか言ってよ!アイツに!」
太一 「あ・・・・。」

村西 → 寝ながら湯飲みを灰皿代わりに煙草を吸いながらTVを観ている。
太一 → キレる。

太一 「われぇ!こらぁ!」
村西 「ん?」
洋子 「・・・太一くん。」
太一 「この湯飲みは大事なモンや!言うたんとちゃうんけ!」
洋子 「そっちかよ!」

洋子 → ボソッ。っと、呟く。
太一 → 村西を殴る&蹴る。

太一 「われぇ!何を灰皿代わりにしてくれてるねん!」
    「灰になったじいちゃんとかけてます!ってか?・・・上手い!上手ないわ!
    この世で一番大切なモノを・・・。」
村西 「すまん。すまん。落ち着け。落ち着けて。」

洋子 → 段々と怖い形相になっていく。

洋子 「・・・われぇ!こらぁ!太一!私と違うんかい!この世で一番大切なんは!」

洋子 → 太一をドツく。ビール瓶でドツく。
太一 → 洋子の攻撃を何発目からは、かわしながら。

太一 「だって、こっちは湯飲みやぞ。」
洋子 「じゃあ、私は、湯飲み以下か!・・・・もう、頭にきた!」

洋子・太一 → 喧嘩を始める。(一方的に洋子が攻撃している。)

洋子 「大体ね、なんで私がこんな時間にあなたに会いに来たのか解かってるの?」
太一 「そうや!なんで、こんな時間に来るねん!明日、会えるやないか!」
洋子 「今日で無くちゃ、意味が無いのよ!」
太一 「訳がわからんわ!」
洋子 「本来なら、今日一日中、一緒に居たかったのに・・・連絡もよこさないし、どういう事よ!」
太一 「だから、別に今日や無くてもエエやないか!」
洋子 「今日じゃ無かったら意味が無いのよ!」
村西 「まぁまぁ、おふたりさん、喧嘩は良くない。」

村西 → 喧嘩を止める。

太一 「そもそもの原因はアンタのせいやないか!」

村西 → 太一を殴る。

太一 「何をするんですか!」
村西 「お前が悪いねん!」
太一 「何でなんですか?」

洋子 → 村西に近づいていく。

洋子 「村西さん、ごめんなんさいね。無理な事頼んじゃって。」
太一 「え?なに?」
村西 「こいつ、アカンわ。」
太一 「え・・・?どういう事?」
村西 「もうすぐ7月22日が過ぎ去ろうとしてるなぁ!ケーキかぁ!プレゼントかぁ!」
    「まだ、わからん?」
太一 「・・・まったく。」
村西 「アカンわ、こいつ、彼女の誕生日、忘れてる。」
洋子 「無理なことお願いしてごめんなさいね。」
太一 「・・・え?グル?」

      洋子 → 太一にまくし立てる。

洋子 「・・・そうさ!グルさ!私が村西さんにお願いしたのさ!中学の時の先輩なのさ!」

太一 → 謝る。
洋子 → まくしたてる声は段々とヒートアップしていく。

洋子 「私より、そんなに湯飲みの方が大事か!」×5回。
洋子 「私の胸が他の人に触れられても平気なんか!」×5回。
村西 「もう、あなたとは終わりよ!」
    「今日は私の誕生日だったのに・・・もの凄く楽しみにしていたのに・・・。」
    「あなた、私にぜんぜん興味が無いみたいじゃない!もうイイわ。別れましょ!あなたなんか大嫌い!」
   
村西 「・・・・代わりに言うたったで。」
洋子 「・・・察してるねぇ~。」


Posted by ながいまる  at 00:00 │Comments(0)

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